熱帯林を破壊するバイオ 住民の権利も奪う
昨日(12/3)京都大学で、インドネシアから招かれた二人のNGO活動家の話をうかがった。
タイトルは、「アブラヤシブーム下のインドネシアにおける民衆の権利」。環境という切り口でなく、あくまでも住民の権利がテーマだ。
当然のことだが、住民にとって、アブラヤシ(パームオイル)プランテーションにより泥炭地から大量にでるCO2が地球を温暖化させることの危機感より、「土地を使う権利」をいきなり奪われたことに対する怒りととまどいの方がはるかに大きい。「土地を売る」という概念は住民にはない、にも関わらず土地を政府が1ヘクタール600円位で買い取ったことになってるらしい。
県知事の許可を受けた企業が、ある日突然住民に立ち退きを求め、求めに応じないと軍や警察がやってきたり、ブルドーザーが家を壊しにきたり・・・聞きながら、この話、前にも聞いたなと思ったら、数年前に聞いたマレーシアのサラワク地方の先住民族プナン人の話とよく似ていた。プナン人も森とともに暮らしていたらある日突然アブラヤシプランテーションのために森を奪われた。
熱帯林はどこも同じ運命をたどり、消えていくのだろうか・・、この愚かな行為はいつまで続くー?
熱帯林の生命の豊かさはいうまでもない。インドネシアにも世界中の哺乳動物の12%、は虫類の16%、鳥類の17%が棲息するという。森林地域全体が自然史博物館のようなものだ。この森を破壊するアブラヤシ関係の事業に日本の多くの銀行が投資しているとのこと。
おりしも今日(12/4)の新聞に、フィンランドの石油精製大手ネステ・オイルが世界最大級のバイオディーゼル燃料の製油工場をシンガポールに建設すると載っていた。インドネシアなどで栽培するパームオイルを原料にする・・と。
そういえば「ゴアのノーベル平和賞受賞で、アブラヤシプランテーション建設に拍車がかかってしまった」と昨日の話にもあった。
「バイオ」を燃料消費の免罪符にしている限り、熱帯林破壊はとまらない。
◎今日の用語:アブラヤシ
「パーム油とヤシ油は違うの?」のページをご参照ください。
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