マイハシはファッション?
シュガーさんから下記の質問が届きました。
「先日ガイドしたアメリカ人のゲストが、何と「マイ箸」持参でした。環境初心者の質問で恐縮ですが割り箸について教えて下さい。以前、永六輔さんが「マイ箸」に反対していらっしゃいました。割り箸は端材で作られていて、資源の無駄にならないこと、箸の製造は身障者や精薄者などの貴重な働く場であり、箸の需要が減ると彼らの仕事を奪うことになることの2点を主張されていました。少し前のことなので「ゴミの削減」という視点は抜けています。今また「マイ箸」がブームですが環境というよりファッションという感じがします。環境問題としては箸の使い捨てにはどういう姿勢なのですか?」
マイハシがいいか、割り箸がいいか、実はかなり微妙な問題です。よって「箸の使い捨てはどうか?」も微妙。割り箸を使い捨てせず、リサイクルする人たちもいますが、これはもう趣味と信念の領域ではないかとー。
マイハシ派と割り箸派の言い分を並べてみました。
マイハシ派の意見を○で、それに対する割り箸派の反論を→で並べてみます。
○割り箸は資源の無駄遣い。
→割り箸の2%が国産で端材や間伐材利用。資源の有効利用だ。割り箸の製造には障害者なども関わっている。
○割り箸の90%以上が中国製で、中国では木を伐った後、植林せずに農地にしている場合が多く、そのせいで大洪水の原因になったといわれている。中国では端材や間伐材利用などしていない。
→塗り箸の木地も中国製が多い。最近は中国でも植林が進んでいる。
○ 中国で加工されている割り箸は、最近木をロシアから買っていることもあるそうだ。ロシアー中国—日本と輸送されるわけだが輸送時に排出されるCO2は温暖化の原因になる。
→マイハシ持参者を見ていると、ティッシュで箸を拭き取っている。そのあと、水で洗うので、ティッシュと水のCO2を考えると似たようなものでは?
○割り箸は使い終わるとゴミになる。ゴミ焼却時にもCO2を排出する。
→割り箸はバイオマス。カーボンニュートラル※でCO2排出量はカウントされない。それに割り箸を紙にリサイクルしたり、炭を作ったりしている人もいる。
○ リサイクルや炭作りはまた新たにCO2を出す。
→割り箸は日本の文化。衛生的だし神聖な意味もある。
○ 今は使い捨て時代の象徴。衛生的どころか漂白剤や防かび剤などの薬品が多く検出されている。
→間伐材で作られるアドバシ(広告つき割り箸)は森の手入れに一役かっている。
○ 間伐材などムリに使わなくても、伐り捨て間伐で十分。肝心なのはちゃんと成長した木が正当な価格で売れること。そうすれば持続可能な森林経営ができる。
→マイハシブームで国内の割り箸業者はタイヘン。
○ 北海道の割り箸産業が壊滅的ダメージを受けたのは、1990年代。中国から大量に安い割り箸が入ってきたから。
→じゃあ、奈良の高級割り箸工場が今タイヘンなのは?
○ それだって、マイハシ影響より中国製割り箸の影響が大きいのでは?中国製も最近では高級割り箸風「天そげ」※もあるー。
→・・・
と、どちらも言い分はいくらでもあるのです。
ただはじめはファッションでも、マイハシをもち歩くようになってから環境に関心をもつようになり、省エネにも気を使うようになった、ゴミを減らそうという気になった、という人がたくさんいます。そういう波及効果の方が大きいのかも…。
もともとエコごころをもってる人はマイハシをもとうが割り箸を使おうが、どっちでもかまわない、と思います。でも、私自身はゴミを出すのがイヤなので、マイハシをもつーというだけ。
マイハシ派の人に気をつけてほしいことは、使い終わったハシを拭くのに何枚もティッシュを使わないこと。
割り箸より、ティッシュペーパーの方がよほど環境破壊ではないかと、消費量から考えると思います。布巾がわりにテーブルをバージンパルプのティッシュで拭く人は、せめてティッシュの代わりに再生紙のトイレットペーパーを使いましょう。多少はマシ・・かな?
お尋ねありがとうございました!
◎今日の用語:カーボンニュートラルと天そげ
カーボンニュートラル:「バイオ燃料は「エゴ」燃料?」の頁をご参照ください。
天そげ:「塗り箸木地もガイコク製?」のページをご参照ください。
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