「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」の問題点(5)ー紙3
氏の説では、<自然を守れ>という運動によって木材の需要が減り、「北欧の森林が無駄に捨てられている。もちろん日本の森林はほとんど使用されずに、木は腐っていくだけだ」「ここでも環境運動が環境を破壊している」(172頁)ということだが、これは本当だろうか?
まず、自然保護運動により木材の需要が減ったということだが、南洋材は確かに熱帯林保護運動により輸入量が減ったが、その分北洋材(ロシア材)が増えた。「無駄に捨てられている」とご指摘の北欧材(欧州材)の丸太輸入量は減っているが製材輸入量は増えている。無駄に捨てられたわけではなく、現地で製材されてから売られているのだ。おそらく製材残材は北欧で有効に木質バイオマスとして活用されているだろう。
http://www.jawic.or.jp/database/data/data7.pdf
http://www.jawic.or.jp/database/data/data8.pdf
日本の森林は、これまで自然保護運動のせいで活用されてこなかったわけではない。単に安価な外材に押され価格競争力がなかったせいで放置されていたわけだが、最近外材の高騰で国産材が見直されはじめた。また、環境保護の気運とともに持続可能な森林経営が見直され、京都議定書のおかげで森林整備が進みつつある。
現在日本では、製紙原料は木材需要量の約4割を占めているが、もしリサイクルを一切やめ、その分すべて木材で補うとなると単純計算で木材需要量は6割増しになる。
http://www.rinya.maff.go.jp/j/press/kikaku/pdf/070928.pdf
「紙のリサイクルが森林を守るのに何の役にも立たなかった」(173頁)などということは絶対にありえないのだ。
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