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2008年2月15日 (金)

「環境問題はなぜウソがまかり通るのか」の問題点(6)ー紙4

 著書によると、製紙業界の要望で経産省が動き紙リサイクルが「民から官へ」移行したということだが、そうではなく、民から官への流れは「ゴミ問題」が深刻になったせいだ。ゴミの最終処分場不足に悩む自治体ほど、紙ゴミをなんとか減らそうと古紙回収に助成金をつけてリサイクルを強化した。助成金だけではラチがあかず、古紙を自ら行政回収しようという自治体も現れたが、氏が主張するように製紙業界と経産省の「作戦」が成功したためではない。その証拠に、ゴミに悩んでいない自治体は、助成金もなければ行政回収もしていない。いまだに完全に「民」まかせだ。
 氏が自説の根拠にしている古紙価格の推移は、製紙業界の「作戦」説がなくても充分説明がつく。1970年代から1980年代初頭にかけての古紙価格幅の激しい上下はオイルショックが大きく影響しているし、1990年代の長期低迷は、ドイツの古紙がタダ同然でアジアに流れ込んできたことや円高による輸入紙の増加、自治体によるゴミ減量のための紙リサイクルの強化などが影響している。

 業界や官庁の「作戦」説や「利権」説は話としては面白いが、それが紙リサイクル批判の根拠にされてはたまらない。
          前へ戻る  つづく

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