銘木 北山杉 温暖化の影響も
各地から森好きが集まり、京都大学の先生にご案内いただいて、北山杉の里へ行ってきた。
私自身は、北山林業といえば磨丸太、としか連想できないほど無知だったが、大変興味深い内容の研修になった。
「北山杉には「台杉」と「丸太仕立」があり、台杉は一本の親杉から何本もの垂木をとるもので、一代限りの丸太杉は3・40年の歳月をかけて床柱に仕立てられる」と北山杉資料館のパンフに書いてあるが、素人にはよく意味がわかりにくい。先生の説明のおかげでようやく少しわかるようになった。
台杉というのは、1本の杉から数本の枝を出させて萌芽更新させる手法。狭くて急峻な地形を補うために編み出された造林方法らしい。おもに垂木を生産するが、最近はその独特の樹形から庭木に珍重されているようだ。
丸太仕立は、上から下まで同じ太さにするため、一般の用材生産より密に植林し、ひたすら枝打ちを繰り返す。光合成による栄養分を幹を太らせることより上へ伸びることにのみ使わせたようなスルスルと細長い北山林の樹形にようやく納得できた。
上部の葉だけ残し、きれいに枝打ちするが、木と木の間隔はできるだけ狭くしておかねばならないため雪害にあいやすいらしい。あちこちで雪害被害にあった林を見かけた。温暖化による重たい雪は、北山杉の天敵なのだ。
磨丸太はその丸太仕立で作った丸太を砂で丁寧に磨いたもの。床の間には欠かせない磨丸太だが、残念ながら近年消費量は減少傾向らしい。
歴史ある北山林業の存続のためには、温暖化防止と床の間のある日本の伝統的な家造りが欠かせないようだ。
上の写真は、翌日インストラクターさんに案内していただいた伏条台杉。北山台杉は数百年前ここからヒントを得て林業に取り入れられたらしい。
北山林業という地域の特性をいかした素晴らしい施行のルーツがここにある。
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