『偽善エコロジー』マイハシはエゴ?
東京新聞で物議を醸した武田邦彦氏の新著『偽善エコロジー』のマイハシの項目だけ読んでみた。
何を根拠にマイハシをエゴというのだろう?と興味津々で読んでみてビックリ。
氏は森林の専門家ではない。にわか勉強をして書いているのはいいが、それにしても人工林を大根畑と同一視してもらっては困る。
畑は肥料を投入するが、森林は自己施肥が基本だ。枝打ちした枝や伐り捨て間伐した間伐材を「ごみ」として捉えるのはやめてほしい。立派な肥料である。
28頁の「森を活かすには、私たちが毎日生活する部屋のように、きれいに整頓された状態でなければならないのです」などナンセンス。もし、人工林を「整頓」し、草も刈り、打った枝や除伐した木や間伐材をすべて持ち出してしまったら、土は流れ、山は荒れてしまう。間伐材も枝もごみではなく、森の役に立っている。
もちろん間伐材を持ち出すなといっているのではない。しかし、持ち出す価値のある間伐材は、せいぜい30年生以上のものだろう(24頁に「樹木が育つのに30年ほどかかりますから」と書いてあるが30年生のスギなどロクな柱にならない。30年はまだ間伐の時期、通常は50年で主伐)。
30年より前にする何度かの間伐などは、切り捨て間伐でもちっとも惜しくない。長伐期施業のところでは50年たっても80年たってもまだ間伐するので、そういう時は伐り捨てではなく、持ち出して使うに越したことはないが、それなら割り箸どころか立派な柱になる。
29頁の「割り箸追放運動が起きた結果、日本で割り箸を作ることができなくなりました」など、何を根拠にいっているのだろうか?
そういったもろもろの誤りと偏見を積み重ねた上で「マイハシはエゴ」との結論。この本の出版社と編集者の見識を疑う。
最後に、どうでもいいことだが、33頁の「人工林と天然林の割合は、ほぼ同じ50%ずつ」も間違い。日本の森は人工林が約4割、天然林が5割強、その他が0.5割のはず。
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