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2008年8月14日 (木)

『偽善エコロジー』を検証する「紙1」

 138頁「古紙のリサイクル→判定 よくない」を読んでみた。
 『環ウソ』同様、氏のリサイクルに対する偏見の強さに驚くが、その偏見の理由の一端が少しわかったような気がした。
 氏には、「自然」や「自然物」に対する絶対的な信頼と、その対極に「技術」や「人工物」に対する根強い不信感があるようだ。氏にとって木から作った紙は「自然物」で、再生紙は「人工物」。だから、木から紙を作るのに必要な膨大なエネルギーや化学薬品は氏の念頭にはまったくない。しかし、リサイクルにはそれらが必要だといい、それぞれに必要な量を比較検討することもなく、環境への善し悪しを結論づける。

紙を使っても森林は破壊されない。そして森林は太陽の光で樹木が生育した量だけ人間が活用したほうが、かえって健全な森林を作ることができる、ということですから、「(リサイクル紙ではない)新しい紙を使う」のが、最も環境によいことがわかります。(144頁)
リサイクルのときに使う物は石油が主です。市中から古紙を回収してくるときでも、工場へ運んで夾雑物を除き、さらに漂白などをするときでも石油を燃やして、熱を発生させなければ何もできませんし、薬品も多く使います。その薬品を安全に捨てられるように処理するにも廃液処理に多くの石油を使います。リサイクルを神様がやってくれるなら別ですが、人間がするのですから石油に頼らなければならないのです(146-147頁)

 木の生長には石油はいらない。しかし、木から紙を作るときには、古紙から再生紙を作るときよりずっと多くのエネルギーや薬品が必要だ。
 その証拠に、家で牛乳パックやチラシから簡単に再生紙を作ることはできても、木から紙を作ることはほとんど不可能だ。古紙を水に浸しておいてからミキサーにかけ、漉くだけでそれなりの再生紙はできるが、木から紙を作る場合にかかる時間や労力、必要なエネルギーや薬品は家でできる能力を超えている。だから、牛乳パックからハガキを手作りする人はいても、割り箸からハガキを手作りする人はいない。

 近年、クラフトパルプを作る際、木に含まれているリグニンなどを「黒液」として石油代わりに使うようになり、大幅に石油の消費量を減らすことができるようにはなった。とはいえ、黒液を取り出すまでの行程は大変なものだし、クラフトパルプ以外のパルプ、たとえば新聞原紙などの機械パルプを木から作る場合は黒液は使えないから化石燃料を使う。

 この↓のサイトは環境省が紙についてまとめたものだが、かなりよくできている。リサイクルのメリット・デメリットを知りたい方はぜひご一読を。
http://www.env.go.jp/policy/hozen/green/g-law/archive/h19com_02/ref01.pdf

         つづく

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