広がるナラ枯れ…クマも困ってる?
別名、広葉樹枯れともいうらしいが、私がこの被害の峻烈さに驚いたのは、数年前の滋賀県の森林を見学したとき。
葉をつけたまま、本当に一瞬にして息の根を止められたという格好で、立ち枯れているナラ類の木々を目の当たりにしたときだ。尋常ではないその枯れ方に、もし奈良公園の立派なスダジイなどにまで広がったら…と思うとゾッとした。
森林総合研究所の発表によると、現在23府県に拡大しているそうだ。被害が増加している理由は、薪炭林の放置により、大きなナラ類の木が増えたことが大きいが、温暖化も影響しているといわれている。ナラ枯れを引き起こしているカシノナガキクイムシ(カシナガ)が、枯死したナラ類などの木から他の木へと飛び立つのが、気温が20度位まで上がった日中だからだ。温暖化により、飛翔条件が揃う地域が広がっている。
まさか、カシナガの好む大きなナラ類を伐ってまわるわけにはいかないので、枯死したナラ類からカシナガが飛び立つ前に、被害木をカシナガごと徹底して除去することが必要だ。だから、被害が広がり手が付けられなくなる前に、被害木をいち早く見つけることが何よりの対策だろう。
しばらく前から、日本熊森協会の人たちが行う「ドングリ運び」が物議をかもしている。少しでも熊にエサを与えたいというやさしい気持ちは理解できるが、人間がよかれと思ってやることが、結果的に生態系に被害を与えることはこれまでも実証済みだ。いろいろな害が想定される森にドングリをまく行為より、ナラ枯れを食い止めることの方が、熊から感謝されるのではないか…と思う。
http://eco.nikkei.co.jp/news/today/article.aspx?id=NN000Y068%2002022009
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