火力発電所でバイオ燃料の利用拡大すすむ 輸入チップは製紙原料と競合?
昨日(2009.5.19)の日経新聞夕刊によると、電力会社は火力発電所でのバイオマス燃料の利用をすすめているとのこと。
「新エネルギー等電気利用法」により、一定量の自然エネルギー導入を義務づけられているため、CO2排出ゼロとみなされるバイオマス燃料を利用することで、2008年度—2012年度の平均で発電量あたりのCO2排出量を1990年比で約2割削減する計画をクリアするための対策だという。
バイオマス燃料を石炭に混ぜて使う電力会社は次のとおり。
○沖縄電力(2万トン)2010年度(予定)※地元で発生する建設廃材を利用。具志川火力発電所の出力15.6万キロワットの2基の発電機で石炭に重量比で最大3%混ぜて使う予定。
○中部電力(30万トン)2009年度(予定)※オーストラリアからの輸入チップを利用
○関西電力(6万トン)2008年8月 ※輸入(注1)
○中国電力(2万−3万トン)2007年8月 ※間伐材など
○北陸電力(1万—2万トン)2007年7月 ※樹皮や木くず
○四国電力(1万トン強)2005年7月 ※樹皮など
沖縄では、地元の廃棄物処理会社が共同で作った施設で建築廃材を砕いて不純物を除き、ペレット状に加工した燃料を使うそうで、ごみ問題とCO2削減を同時に解決。中国電力や北陸電力、四国電力も使い道のない樹皮や間伐材などを使うため、地元に喜ばれていることだろう。
中部電力や関西電力は、チップを輸入に頼る方が安定的に大量に使えるのはわかるが、まずは少量でもいいのでぜひ地元の廃材や端材などを使うべきではないだろうか?カウントされないとはいえ、輸入時に排出されるCO2排出量はバカにならないし、オーストラリアからの輸入チップは原始林からの木も入ってきている可能性が高い。おそらく製紙原料と同じようなユーカリチップを輸入するのだろうから、バイオマス燃料とはいえ、それを燃やすことがなぜ環境によいのか疑問だ。近場の建築廃材や間伐材を利用する途をぜひ探ってほしい。
そういえば東京電力は…?
(注1)関連ブログ 関電 バイオマス発電開始ー木質ペレットは外材?
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