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2012年10月

2012年10月15日 (月)

長尾憲彰氏とデポジット

 長尾 憲彰氏(ながお・けんしょう=常寂光寺の前住職、元花園大教授、児童心理学)が10月11日に亡くなられた。

 調べてみると、氏の業績はとてもここでは書ききれないほどあるようだ。しかし、正直言って私自身は多くを知らないので、勝手に私自身が関心のあることを1つあげさせていただき、氏を偲びたいと思う。
 長尾氏は、幻となった京都市の「空缶デポジット条例」の火付け役の一人で、津川敬の「脱埋立て・脱焼却って何なんだ」によると、氏はデポジット制度の良さを、市民運動側よりも経団連が熟知しているのではないかといっていたという。

1980年、京都市が全国初の「空缶デポジット条例」制定に向けて作業を行なっていたがそのさ中、元経団連会長の稲山嘉寛が京都に乗り込んでこの動きを潰している。理由は簡単だ。デポジットを実施するということは処理責任の所在が自治体から産業界に移るということを意味するからである。当時、条例づくりを市に働きかけていた嵯峨野・常寂光寺の長尾憲彰住職がこう述懐した。「思うにデポジット制という知恵のすばらしさを市民運動側よりも知悉していたのは、これを恐れる当の企業経営者ではなかったか」と。

 確かにその通りだと思う。そうでなければ、デポジット制を産業界がこれほど必死になって潰そうとする理由がわからない。当時も今も、産業界はデポジット制度が日本では難しい理由をいくつも並べるが、どれも大した理由ではない。解決できる問題ばかりを大袈裟にいいたてている。
 そして、産業界のお決まりの台詞。
「デポジットは散乱ごみ対策にしかならない。デポジット制度にしても3Rは進まない」
 しかし、私はいいたい。「散乱ごみ対策になれば十分。3Rが進むかどうかは、デポジット制度と一緒にどの制度を併用するかで決まるから、とりあえずデポジット制度にしてみませんか?」と。
 
 

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