2010年8月28日 (土)

熱帯林がまた紙に・・サラワクに日本の製紙メーカー進出?

 パームオイルやアカシアプランテーションを造成するため、先住民の人権無視が何十年にもわたって続き、道路封鎖で先住民にけが人が出ているマレーシア・サラワク州。そこに、日本の製紙メーカーがプランテーション進出をしそうだ。
 現在のグリーン購入法の基準では、古紙100%でなくとも「植林木」であれば、もっとも基準の厳しいコピー用紙でさえも基準がクリアされる。「植林木」と書いてさえおけば、国産材が入っているかも知れない、とか、森林破壊していない、と勝手に誤解してくれる消費者はたくさんいるだろう。
 現に泥炭湿地帯にある熱帯林を破壊し、大量に二酸化炭素を排出して作られた「植林木」のインドネシア製のコピー用紙も、安く店頭に大量に並べられ、よく売れている。
 いずれ、このインドネシア製コピー用紙と並んで、サラワクからのチップを使った紙製品も販売されるのだろうか。
 これまで、サラワクで製紙原料のためアカシアプランテーションを造成していたのは、APPの関連会社であるBPP(ボルネオ パルプ アンド ペーパー社)などだった。そこに日本企業が参入し、残りの熱帯林を破壊し、問題の多い単一樹種植林であるプランテーション経営に乗り出すのかと思うと気が重くなる。
 日本がかつでボルネオ島を侵略する前、拓務省拓務局によるサラワクの現地調査が行われた。その記録が『サラワツク王國事情』として残っている(1938年)。サラワクの先住民の各部族の生活や性格、サラワクの輸出品や輸入品の詳細、気候、歴史などが詳細に調査されている。
 それとよく似た調査書が、2007年、日本製紙連合会により作られていた。サラワクの気候や産品などが細かく調査されている。
   ↓   ↓
http://www.jopp.or.jp/research_project/pdf/sarawak2007.pdf

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2010年5月23日 (日)

国内の雑誌古紙価格大幅アップ!

 久しぶりに古紙価格を見ていて驚いた。新聞と段ボールが同じ価格で、雑誌はそれより1円しか安くない。
 これまで新聞古紙が高くても、雑誌は超安値、段ボールも新聞より安いことが多かった。そのため、古紙回収置き場に置いてある古紙のうち、新聞だけを持って行ってしまうアパッチも多かった。
 王子製紙や日本製紙グループが古紙価格の地域格差や内外格差をなくすため、主要3品の価格を全国一律の新聞15円、段ボール15円、雑誌14円(問屋店頭ベース、キロ当たり)に設定したとのこと。
 この価格設定ならば、古紙が中国へ流れてしまい、国内で不足することはなさそう。

http://www3.kcn.ne.jp/~kosi/back881.htm

 しかし、中国での回収量の大幅な上昇を見ると、いつまで日本から古紙を買うのか疑問。中国が日本から買わなくなればこの価格設定も変わりそうだ。

http://www3.kcn.ne.jp/~kosi/back878.htm

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2010年4月27日 (火)

消費されるサラワク熱帯林 パームオイルの次は紙 

 10年程前、マレーシアのサラワク州の熱帯林破壊の問題がマスコミなどでも取り上げられたことがある。アブラヤシ(パームオイル)プランテーションを作るため熱帯林が破壊され、そこに済む先住民族の生活を奪っているといわれていた。先住民族が何度か来日し、私も学習会に参加して話を聞いた。
 パームオイルの入ったお菓子や洗剤をできるだけ買わないように注意してきたが、バイオ燃料ブームの到来で、時代はパームオイル大増産を目指す方向に進んでいる。
 その影響はサラワクにも及んでいるのか、まだ森林は残っているのかと気になっていたところ、昨日久しぶりでサラワクについての話を聞くことができた。

 サラワクには、熱帯林がまだかろうじて残っているそうだが、アブラヤシプランテーションが増え続けているので、いつまで残っているかはわからない状況のようだ。しかも、古いアブラヤシプランテーションは、製紙原料にするためのアカシアプランテーションに「植林」という美名のもとで転換されているとのこと。詳しいことはよくわからなかったが、アブラヤシは肥沃な土地を好むが、アカシアは荒れ地でも育つからというのがその理由のようだ。アカシア植林は2003年頃から始まったらしい。そのアカシアは中国系企業などによって紙にされているという。
 以前、サラワクでのアカシア植林が京都議定書で認められているCDM(クリーン開発メカニズム)として検討されているという話もあったから、おそらく日本企業の資金もプランテーションに使われているのだろう。

 アカシアもアブラヤシも除草剤を使うので、周囲を汚染しているとのこと。しかも、残った農薬は畑の一隅などに無造作に捨てられてしまうので、土壌汚染は深刻だ。プランテーションで働くのはインドネシアからの移民が多いので雇用の創出にもならない。
 10年前も今回も同じ言葉を聞いた。
「伐採による森林劣化はまだマシ。プランテーションは致命的だ。」

 先住民による伝統的な焼き畑は、時間がたてば元の植生に戻るが、一度プランテーションにされた土地を元の植生に戻すことは難しい。
 「この紙は植林木で作られています」と書かれたコピー用紙などを時々見かけるが、植林木で作った紙だからといって、必ずしも環境に良いわけではない。
 パームオイルも紙も、私たちの生活に直結している。安いバージンパルプのトイレットペーパーやティッシュペーパーなども最近は中国から大量に入ってきている。
 できるだけ再生紙を選びたい。

○リユース容器の促進と散乱ごみ防止のため、下記の署名サイトでデポジット署名を集めています。

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2010年4月23日 (金)

紙製弁当容器 食べ終わった後はリサイクル

Photo 1
 大学生協のランチボックスのエコ化が全国的に進んでいるようだ。
 大学によってもいろいろあるようだが、プラスチック製(スチレン?)の弁当容器にPPフィルムが貼ってあり、食べ終わった後フィルムをはがし、大学生協に返すと10円戻ってくるデポジット制を採用している大学もあれば、紙製で紙の上にPPフィルムが貼ってあり食べ終わった後はフィルムをはがして通常の古紙リサイクルに出せるタイプの容器を採用している大学もある。
 プラスチック製の方はデポジットで確実に回収しリサイクルにまわしている点は評価できるが、やはりプラスチックより古紙リサイクルできる紙製に軍配を上げたい。
 試しに紙製のランチボックスに入った弁当を1つ買ってみた。ご飯の上にピリ辛の鶏肉が乗っている弁当で、味はなかなかよかったが、ピリ辛の赤い色がほんの少し紙に付着してしまい、このまま古紙回収に出してよいものかと不安になった。
 汚れやすい部分はフィルムをもう少し大きくして、内側だけでなく外側も一部覆う必要があるようだ。
 また、食べ終わった後のこのランチボックスを古紙回収に出す学生が何人いるかと考えると、プラスチック製と同様に、10円か20円のデポジットを付けて確実に回収し、生協が責任持って古紙回収業者に渡す方がよいと思う。
 このランチボックス、大学生協以外ではあまり見かけないが、ホカ弁やコンビニなどでも採用したらきっと売れると思うが、大学構内ならばいっそのこと使い回しのできる弁当容器を採用し、100円程度のデポジットで回していくことも可能だろう。大学で「環境」を教えているならば、実践も必要だ。「リサイクルよりリユース」を学生にも体験してほしい。
 ※写真は紙製ランチボックス。上は食べる前、下は食べ終わってフィルムをはがした後。

○リユース容器の促進と散乱ごみ防止のため、下記の署名サイトでデポジット署名を集めています。

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2010年2月 5日 (金)

ガンズ社訴訟取り下げ 日本の製紙原料に朗報

 日本の製紙原料になる木材チップは、広葉樹も針葉樹もオーストラリアからの輸入量が一番多い。オーストラリアは「先進国」だから森林破壊はしていないと思われがちだが、決してそうではない。オーストラリアの南にリンゴの形の島があるが、そこは豊かな温帯雨林の森が広がるタスマニア。オーストラリアからのチップの大半がこの島から来ている。
 タスマニア州の木材伐採会社であるガンズ社は、「業務妨害」を理由に原生林やオールドグロス林の保護を求めて活動していた環境団体や市民を相手取り2004年から訴訟を起こしていた。一部敗訴を受けて訴訟の一部を取り下げるなどしていたが、レインフォレストアクションネットワークからの情報によると、2010年1月29日、最後まで残していた訴訟も取り下げる決定をしたとのこと。
 自ら起こした裁判で和解金と訴訟費用を支払うことになったガンズ社は、これまでの経営方針を見直さざるをえなくなるだろう。ガンズ社がまともな森林経営をするようになれば、日本に木材チップを大量に供給している会社だけに、日本の紙のエコ度も上がる。

<関連サイト>
「できるだけエコライフ」タスマニア裁判闘争 日本も無関係ではない

これまでの訴訟の経緯等詳しくは↓
http://treesnotgunns.org/jp//people/

http://www.25today.com/news/2006/10/post_469.php

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2009年12月18日 (金)

タスマニア裁判闘争 日本も無関係ではない

 タスマニアの森林をめぐる裁判が山場を迎えているようだ。タスマニアの木の多くは、日本の印刷用紙などの原料だから、私たちの大量消費型の暮らしがこの裁判を引き起こしたともいえる。

【以下、JATANのニュースからの転載】

タスマニアの伐採問題に関心をお持ちの方々へ

■ガンズ20、いよいよ審理始まる! 裁判闘争資金、寄金のお願い
Help with Gunns 20 Case!
タスマニアの伐採企業、ガンズ社(Gunns Ltd.)が2004年暮れに、巨額の賠償金請求とともに、20の環境保護活動家・団体を相手に訴訟を起こしました。これは「ガンズ20(Gunns 20)」と呼ばれ、保護活動などを行う一般の
住民や市民たちを相手に、自由な言論活動を封殺し、経済的・精神的に苦境に立たせようとするSLAPP(Strategic Litigation Against Public Participation)の典型例として世界的
に注目を集めている訴訟のひとつです。この間、ガンズ社がボブ・ブラウン上院議員ら一部の訴訟相手を除外したり、またウィルダネス・ソサエティとそのメンバーたちは示談に応じるなどして、最初の訴状が提出されてからすでに5年近くが過ぎようとしていますが、現在この訴訟の被告人は3名の市民活動家と1団体のみになりました。いずれもが州南部のルーカストンというコミュニティの住民で、地元の美しい森を子や孫の代まで守ろうとガンズ社を相手に闘い続けてきた市民、グループです。いよいよ最初の審議が来年2月2日にメルボルンの最高裁で始まります。「ヒューオン渓谷環境センター(Huon Valley Environment Centre, HVEC)」とその主宰者であるアダム・バーリング
(Adam Burling) 氏は裁判を前に、あらためて州最大の企業に対する闘争の決意を固めるとともに、闘争支援の寄付金を広く募っています。大きな財政基盤を持たない彼らがこれから裁判闘争を継続し、勝ち抜くためには皆さんからの資金支援は大きな支えとなります。ご協力をお待ちしています。

○バーリング氏からの募金のメッセージはこちら(英語)。
http://www.huon.org/Gunns20
○バーリング氏の個人ブログ
http://adamburling.com/
○下記のYouTube、URLに入っていただくと、地元の森林を子どもたち未来世代に残そうというHVECのメンバーおよびバーリング氏の肉声と映像をご覧になれます。
http://www.youtube.com/watch?v=8QW6VVLXuvs&feature=player_embedded
○寄付は以下のサイトから。クレジットカードの情報を入力していただくと直接、HVECの口座に募金ができます。どうぞ、ご協力ください。
https://www.paymate.com/PayMate/ExpressPayment?mid=HVEC
○タスマニア、ルーカストン 原生林伐採計画に揺れる町
http://www.jatan.org/jn/JN55Aus.html

熱帯林行動ネットワーク(JATAN)

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2009年12月16日 (水)

エコプロダクツ

 先週末、東京ビッグサイトで行われたエコプロダクツへ行ってきた。環境面での取組をアピールしたい企業や自治体、そしてこの場を啓発活動の一環としてとらえている市民団体などが多数出展していて、面白かった。
 シュレッダーからトイレットペーパーを作る装置は、話には聞いていたが実物を初めて見た。使い終わったA4版のコピー用紙40枚を投入すると、裁断され、30分後に1ロールのトイレットペーパーになって出てくる。使うのは電気と若干の水。排水しないというから、水は使い切るらしい。そのためか、脱墨が不完全で通常のトイレットペーパーより黒い墨の点々が見えるが、全体の色は悪くなく、実用には何の障害もない。機密書類が多く、シュレッダーを多用している企業向けだ。
 製紙会社のエリアに、8年生?のユーカリと22年生?のカラマツの立木が置かれていた(写真右側の木がカラマツ、中央と左側の木がユーカリ)。8年生のユーカリは結構な太さで、製紙原料としてちょうど伐期。しかし、カラマツはまだ細い。成長の早さの違いがよくわかったが、だからといって紙のために安易に海外の天然林を皆伐してユーカリプランテーションを増やしてよいという理由にはならない。
 インドネシアの森林認証をAPP社が取得したそうだが、インドネシアの森からのコピー用紙などは認証紙でもエコだとは思いにくい。インドネシアの植林木を使ったコピー用紙を販売している大手企業もエコプロダクツに出展していたが、その1点だけで他の製品まで胡散臭く見える。
 できれば古紙や間伐材など国内資源を利用した紙を販売してほしい。
 間伐材といえば、カートカンのサンプルを配っていたのでもらってきた。クレジット方式ではなく、本当に間伐材などの国産材が30%も入っているという。飲み終わったカートカンを洗って切り開けば、牛乳パックなどと一緒にリサイクルできるのだそうだ。
 
Photo

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2009年9月21日 (月)

新聞紙でコサージュ作り

 Kif_5771 先日、ある福祉団体の事務所で紙の話をした。紙の話の後、友人の「新聞紙コサージュ作り」講習会。私もコサージュ作りを参加者と一緒に習ったのだが、とても面白くハマッてしまい、帰宅後2つも作ってしまった。
 このコサージュ、雨に濡らさないように大事に使えばそれなりに長く使えるという。古紙回収には出せなくなってしまうから、捨てる時は安全ピンだけはずしゴミ箱へ。安全ピンはまた使える。新聞紙1ページ分で2個もでき、ハマればストレス解消効果も。貴金属を買いあさるより環境にもよさそうだ。
 紙の話は頭からすぐ出て行くが、コサージュは残る。絶妙の組合せかも・・・


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インドネシアから森林NGO来日 大阪集会

 11月14日、インドネシアでオランウータンの住む森や泥炭湿地林を守る活動に取り組んでいるNGOを招き、大阪で集会を開くそうだ。

 「オランウータンが住める森作りと泥炭湿地林保全を…インドネシアからのメッセージ」
 主催:ウータン・森と生活を考える会
 日時:11月14日(土)午後6:30より
 場所:ドーンセンター
 詳しくは下記へ↓
http://www3.kcn.ne.jp/~kyone/kcn/sitetop/utan/2009%2014thNov%20osaka%20tirashi.pdf

 泥炭湿地林は、パームオイルや紙のためのプランテーションを作る過程で、大量の二酸化炭素を放出する。水路をきって伐採した樹木を運ぶため水が抜け、数千年にわたって堆積した有機物(枯れた樹木など)が分解するためだ。乾燥後は、周囲の地盤が沈下するだけでなく、土壌が紙のようにカラカラに乾くため火災が起きやすく、泥炭層に火が入ると鎮火するのも難しいという。
 このような熱帯林を保全することは、地球温暖化防止に不可欠であるのはもちろんのこと、多様な生物の住み処を守ることにもなる。
 私もぜひ、来日する3人のNGOの話を聞きたいと思っている。

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2009年9月 2日 (水)

中国一人勝ち 日米2桁減

 オフィス・デポから分厚いカタログが送られてきた。
 数ヶ月前、古紙100%・白色度68%のコピー用紙を買ったせいらしいが、カタログなんていらんなぁ、もったいないからもういらんいうて断ろうーと思いながら頁をめくってみた。
 興味があるのは私の場合、紙製品。
 コピー用紙のところを見てびっくり。ほとんど製紙会社名が書いてないのだ。王子製紙の2種類の再生コピー用紙のところにだけ、「純国産品」と書かれている以外は、すべて国籍不明。しかもパルプ100%。普通ならインドネシア製かなと思うところだが、オフィス・デポは確か、APP社製から撤退したという話なので、おそらくほとんどが中国製…。
 うーん、そういうことかと思いながら、トイレットペーパーとティッシュペーパーのところを見てみると、トレペは再生紙の扱いが多かったので一安心・・・いえ、安心できないのでした。トイレットペーパーの場合、再生品でも輸入の可能性があった。
 ティッシュペーパーも、コレ中国製だろうなぁと思われるものがあったが、それも当然だろう。

 古紙ジャーナルによると、紙・板紙の生産量が日本もアメリカも昨年11月以来2桁減少が続いているとのこと。かたや中国は、いち早くプラス成長に転じ、いまや2桁成長だという。
 輸送にかかるエネルギーが気になるから、紙くらいは国産品を買いたい。原料の原産国表示もしてほしいが、せめて生産国表示だけでも義務づけられないものかと思う。

http://www3.kcn.ne.jp/~kosi/back847.htm
 

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