森林

2011年10月 3日 (月)

十津川村の台風被害とTPP

 台風12号の被害状況をテレビで見ていると、「深層崩壊」した森林の木の細さについ目が行く。典型的な「手入れ不足」の森だったらしい。深層崩壊の直接の原因は大雨だが、原発事故と同様に(事故の引き金は地震だが背景には長期にわたる人災があったのと同様に)、長年森林をないがしろにしていたツケが廻ったのではないかと思えてくる。
 林業の活性化のため十津川村では、林業再生プロジェクトを展開中だったそうだが、まだその入り口の所で起きた今回の崩落にどれ程落胆しているかは察するに余りある。村長は「林業不振で山に手が入らず、地力が弱まったことが今回の土砂災害を招いた」と指摘し「林業再生で山をもう一度元気にするしかない」と地元産材で仮設住宅を建設するそうだが、目の前にはかつてのGATTより手強いTPPが迫っている。
 目先の経済発展のために、原発も止められず農林業にダメージの大きいTPPも推進するというのでは、目先のお金のためには、林業の不振による国土の崩壊も農地の放射能汚染も気にならない人達が社会を動かしているのだろうかと思えてくる。良識ある政治家や経済人は、もはや絶滅危惧種なのだろうか。
 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110913-00000139-san-soci

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2010年10月 7日 (木)

ラッシュの石鹸 脱パームオイル

 FAIR WOOD マガジン第74号で、マレーシアパーム油協議会(MPOC)が、オーストラリアの動物園が反パーム油のポスターなどで、マレーシアやボルネオのイメージを損なう露骨な中傷をしていることを見過ごしているとして、正式な抗議文をオーストラリア政府に提出したと知り、ニュージーランドだけでなく、オーストラリアの動物園も半パーム油の立場を明確にしていたことを知った。
 生物多様性の見地からも、熱帯林をこれ以上アブラヤシプランテーションに変えないように、日本の動物園もぜひ見習ってほしいものだと思う。
 パーム油から撤退するメーカーは、少しずつだが増えているようだ。
 世界各地で、自然派石鹸などを作り販売しているラッシュが、石鹸素地をパームオイルからココヤシ油などに変更するそうだ。
http://www.fairwood.jp/news/mmbn/mmat/vol040_2.html

<関連サイト>
「もうパーム油は使いません ニュージーランドのチョコレート会社」
http://dekirueco.cocolog-nifty.com/blog/2009/08/post-62f9.html

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2010年10月 3日 (日)

燃え続けるロシアの森林

 報道が減り、鎮火したとばかり思っていたロシアの森林火災。
 2010年9月25日時点でのロシア非常事態省の発表によると、依然としてまだ57件が燃え続けているとのこと(23日夜中に79件の火災が発生中、63件が消火、24日夜には41件発生)。ロシア非常事態省の調べでは、2010年の火災の危険がある時期初頭からロシア連邦領土内で発生した森林火災は、32,057件、総面積にして156万7千ha(1,432件の泥炭地火災、総面積2,634haが含まれる)とのこと。焼失面積に関しては、政府当局の発表以外にGlobal Fire Monitoring Centreが衛星データによる焼失面積は、1500万haと、公式データの10倍の数値だそうだ(FAIRWOOD世界のニュース【第74号】に掲載)

 大規模の火災はないとのことだが、泥炭層に入り込んだ火は鎮火したように見えてもいつ発火するかわからない。文字通り、ロシアの森林はこれから長期にわたり「火種」を抱えていることになる。ロシアのメドべージェフ大統領が北方領土に来るのは、住民の関心を森林火災から他へそらす目論見もあるのではないだろうか。

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2010年9月12日 (日)

森林が海外から狙われるようになった理由は?

 日本の森林を外国の企業や個人が買っているということで、原因を考えていたところ、友人が『官製ワーキングプア』(布施哲也著)のコピーを送ってくれた。
 それによると、日本がアメリカから履行することを約束させられている「日米構造協議」には、日本の投資先をアメリカと競合することになる海外や、国内でも技術開発などの先端産業への投資ではなく、公共事業の投資へシフトすることが求められているという。

 具体的には、土地利用の促進のための税制改革、大規模店舗法の見直し、経済取引慣行の改善、内外価格差の解消などとなっていた。そして、自治体に関係することは、10年間で430兆円(後に増額)を約束させられた公共投資の促進となる。
 最終文書には、こう記載してある。「社会資本整備を高いペースで上昇させてきたが、以前欧米諸国より遅れている分野があることは否めない。……社会資本整備の必要性、重要性を強く認識し、今後とも社会資本の着実な推進を図ることとする」。

 これを読むと、ほとんどの日本人が「無駄なハコモノ事業」と感じながらも、行政によりすすめられていたこれまでの公共事業は、郵政民営化同様に、アメリカから押しつけられた政策だったのか・・と呆然とするが、この中の「土地利用の促進のための税制改革」により、山林が買われやすくなってしまったのだろうか?それで、数年前から問題になっていたこの森林売買問題を政府は放置してきたのだろうか?
 朝日新聞(2010.9.6)によると「日本政府はいま、国際ルールで土地争奪に歯止めをかけられないか模索している。11月に日本であるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で国際的な合意を取りつけたい」というが、外国頼みでなく、国内法でも土地争奪のターゲットにされないようにするべきだろう。
 
 

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2010年9月 8日 (水)

北海道の森を外国資本が406ヘクタール購入 資本状況不明も798社

 北海道の森林は、大変なことになっているようだ。
 まだ判明していないが、九州や本州の森林も似た状況かもしれない。目的の1つは「排出量取引」といわれているが、それは多分違うだろう。先進国の森林は排出量取引の対象としては利用しにくい。では、目的は何か?「投資」?「ウォータービジネス」?それとも?
 日本の大切な部分は、いずれ外国人に買い占められるのだろうか?まるで植民地だ。
 エジプトやメソポタミアを持ち出すまでもなく、森林を大事にしない文明は滅びる。それは歴史が証明している。森林を勝手に売買したり、安易に用途変更したりできないような農地なみの法規制が至急必要だろう。

http://mytown.asahi.com/areanews/hokkaido/HOK201009070005.html

私有林7カ所、海外資本が取得 所有者・利用目的調査へ 2010年9月8日

 道は7日、海外資本による道内の森林の売買状況を調査したところ、道内の私有林7カ所、計406ヘクタールが購入されていたと公表した。水源を守り、土砂崩れなどから土地を保護する水土保全林を所有する企業を対象にした調査でも海外資本1社を確認。森林の管理を徹底するため、道は所有者や利用目的などの実態把握をさらに進める方針だ。

 道議会水産林務委員会で報告された。道が昨年の道内の私有林の取得状況を調べたところ、新たに取得された732件のうち、海外資本による取得が4件(353ヘクタール)、外国人が3件(53ヘクタール)あった。

 取得された森林は倶知安町とニセコ町が各2件、砂川市、蘭越町、日高町が1件。資本元は中国3件と英国1件だった。外国人の国籍はオーストラリア、ニュージーランド、シンガポールの3カ国だった。いずれも利用目的は、資産保有や現況利用、牧草地となっているという。

 出資割合が不明な企業による取得が110件(3227ヘクタール)あり、道は海外資本かを判別するため、資本状況を引き続き調査するという。

 一方、道が市町村を通じ、道内に水土保全林を所有する企業2217社を調べたところ、8月末現在、海外資本が1社(0.2ヘクタール)あった。道によると、この企業は中国資本で、倶知安町に森林を所有しているという。このほか、代表者や役員が外国人で、海外資本の可能性がある企業が10社(112ヘクタール)あった。

 道によると、転売が繰り返されたり、不動産会社が複数の所有者から森林を買い上げ、その後まとめて転売したりした結果、海外資本が森林を購入したケースを確認したという。

 ただ、798社(1万1386ヘクタール)については、資本状況が不明だった。道は登記簿謄本を確認するなどして所有者の特定を進める。野呂田隆史道水産林務部長は「森林所有者の把握に努め、水資源の保全など重要な役割を担う森林の適切な整備と管理につなげる」と話した。

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外国資本が日本の森を買いあさる 森林行政は何してる?

9月7日のクローズアップ現代はとてもショッキングな内容だった。

http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2932

この夏、北海道倶知安町の山林が香港企業によって密かに買収されていたことが判明。買収劇の周辺取材を進めると、日本の森林が外国資本の投資マネーの受け皿となっている状況がが明らかになってきた。さらに、日本では林業不振から山を手放したいという地主が増え、中国の投資家に山林を売り込むグループまで登場した。その一方で、日本では、土地の所有権が極端に強いため、外国人による森林の乱伐や水源の枯渇を食い止める有効な手段がなく、国が進める森林再生事業も進まないという問題もある。山林買収騒動を通して森林行政のあり方を考える。

【再放送時間変更のお知らせ】
9月8日(水)午前2:25~2:51〈BS2での放送です〉

 以前から噂のあった日本の森林を外国人が買いあさっているという話が現実のものとなっていた。
 香港や中国、イギリス、オーストラリアの会社などが既に北海道の森林を買っているとのこと。
 前から、早く何らかの対策をしないと外国人が買って大変なことになると言われながら、後手後手に回るうちに、心配が現実のものとなっていたのだ。もう2年も前に買われていたのに、最近になってようやく外国人が買ったことに気付いたとは、話にもならない。
 投資目的の購入だが、本当にすぐにでも手を打たないと、これ以上外国人に森林を買われたら日本は大変なことになるのではないか。
 これも皆、山を開発しやすくするため、自民党時代に規制を緩めたせいだ。
 今の日本の法律では、森林を乱開発し災害などが起きたとしても、わずかな罰金ですむとのこと。
 外国人だから心配、日本人なら安心ということではないが、大事な水源を投資の対象として売買され、安心して暮らせるはずがない。

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2010年8月28日 (土)

熱帯林がまた紙に・・サラワクに日本の製紙メーカー進出?

 パームオイルやアカシアプランテーションを造成するため、先住民の人権無視が何十年にもわたって続き、道路封鎖で先住民にけが人が出ているマレーシア・サラワク州。そこに、日本の製紙メーカーがプランテーション進出をしそうだ。
 現在のグリーン購入法の基準では、古紙100%でなくとも「植林木」であれば、もっとも基準の厳しいコピー用紙でさえも基準がクリアされる。「植林木」と書いてさえおけば、国産材が入っているかも知れない、とか、森林破壊していない、と勝手に誤解してくれる消費者はたくさんいるだろう。
 現に泥炭湿地帯にある熱帯林を破壊し、大量に二酸化炭素を排出して作られた「植林木」のインドネシア製のコピー用紙も、安く店頭に大量に並べられ、よく売れている。
 いずれ、このインドネシア製コピー用紙と並んで、サラワクからのチップを使った紙製品も販売されるのだろうか。
 これまで、サラワクで製紙原料のためアカシアプランテーションを造成していたのは、APPの関連会社であるBPP(ボルネオ パルプ アンド ペーパー社)などだった。そこに日本企業が参入し、残りの熱帯林を破壊し、問題の多い単一樹種植林であるプランテーション経営に乗り出すのかと思うと気が重くなる。
 日本がかつでボルネオ島を侵略する前、拓務省拓務局によるサラワクの現地調査が行われた。その記録が『サラワツク王國事情』として残っている(1938年)。サラワクの先住民の各部族の生活や性格、サラワクの輸出品や輸入品の詳細、気候、歴史などが詳細に調査されている。
 それとよく似た調査書が、2007年、日本製紙連合会により作られていた。サラワクの気候や産品などが細かく調査されている。
   ↓   ↓
http://www.jopp.or.jp/research_project/pdf/sarawak2007.pdf

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2010年4月29日 (木)

ウッドマイレージ課税 新潟県で検討中

 新潟県では森林環境税として「ウッドマイレージCO2」構想を検討しているという。
 木材の輸送距離に応じて課税するもので、WTOに抵触しないよう内外を問わず課税する。
 これが実現すれば、新潟県の木材の地産地消にもなり、県内林業も活性化する。海外の森林破壊を防止することにもなるので、素晴らしい構想だと思う。

ニュースレター「木のみち」

○リユース容器の促進と散乱ごみ防止のため、下記の署名サイトでデポジット署名を集めています。

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2010年4月27日 (火)

消費されるサラワク熱帯林 パームオイルの次は紙 

 10年程前、マレーシアのサラワク州の熱帯林破壊の問題がマスコミなどでも取り上げられたことがある。アブラヤシ(パームオイル)プランテーションを作るため熱帯林が破壊され、そこに済む先住民族の生活を奪っているといわれていた。先住民族が何度か来日し、私も学習会に参加して話を聞いた。
 パームオイルの入ったお菓子や洗剤をできるだけ買わないように注意してきたが、バイオ燃料ブームの到来で、時代はパームオイル大増産を目指す方向に進んでいる。
 その影響はサラワクにも及んでいるのか、まだ森林は残っているのかと気になっていたところ、昨日久しぶりでサラワクについての話を聞くことができた。

 サラワクには、熱帯林がまだかろうじて残っているそうだが、アブラヤシプランテーションが増え続けているので、いつまで残っているかはわからない状況のようだ。しかも、古いアブラヤシプランテーションは、製紙原料にするためのアカシアプランテーションに「植林」という美名のもとで転換されているとのこと。詳しいことはよくわからなかったが、アブラヤシは肥沃な土地を好むが、アカシアは荒れ地でも育つからというのがその理由のようだ。アカシア植林は2003年頃から始まったらしい。そのアカシアは中国系企業などによって紙にされているという。
 以前、サラワクでのアカシア植林が京都議定書で認められているCDM(クリーン開発メカニズム)として検討されているという話もあったから、おそらく日本企業の資金もプランテーションに使われているのだろう。

 アカシアもアブラヤシも除草剤を使うので、周囲を汚染しているとのこと。しかも、残った農薬は畑の一隅などに無造作に捨てられてしまうので、土壌汚染は深刻だ。プランテーションで働くのはインドネシアからの移民が多いので雇用の創出にもならない。
 10年前も今回も同じ言葉を聞いた。
「伐採による森林劣化はまだマシ。プランテーションは致命的だ。」

 先住民による伝統的な焼き畑は、時間がたてば元の植生に戻るが、一度プランテーションにされた土地を元の植生に戻すことは難しい。
 「この紙は植林木で作られています」と書かれたコピー用紙などを時々見かけるが、植林木で作った紙だからといって、必ずしも環境に良いわけではない。
 パームオイルも紙も、私たちの生活に直結している。安いバージンパルプのトイレットペーパーやティッシュペーパーなども最近は中国から大量に入ってきている。
 できるだけ再生紙を選びたい。

○リユース容器の促進と散乱ごみ防止のため、下記の署名サイトでデポジット署名を集めています。

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2010年4月 4日 (日)

中国で大干ばつ 森林破壊が原因?

 中国雲南省で干ばつ被害が深刻だという。理由は、森林破壊らしい。
 中国では植林面積が年々増え、伐採面積を上回っているといわれているが、干ばつ被害が大きいところを見ると、森林の質は低下しているのだろう。
 環境は、統計だけではわからない。
 この破壊された原生林に、またユーカリが植えられたとしても、森林の機能は容易には回復しない。
 フェアウッドマガジンによると、雲南省では100年に1度の大干ばつ、広西省では干ばつによる森林火災が70%増えたとのこと。
 近年、中国から日本に大量に入ってくるようになったバージンパルプのトイレットペーパーやコピー用紙は使うべきではないし、中国製割り箸もやめるべきだ。100円ショップで売られているような安価な木製品も産地のわからないものは買わない方がいい。

森林伐採、大干ばつの要因の1つか=衛星写真から見る雲南省原生林↓
http://www.epochtimes.jp/jp/2010/03/print/prt_d66835.html

フェアウッドマガジン(第68号)↓
http://www.melma.com/backnumber_83539_4809605/

○リユース容器の促進と散乱ごみ防止のため、下記の署名サイトでデポジット署名を集めています。

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