CO2(温暖化)

2010年12月29日 (水)

環境税の前に課徴金制度導入を

 2013年度からの導入が検討されていた国内の排出量取引が凍結された。国が凍結を決めても、東京は既に開始しているし、埼玉も来年4月から導入する予定だから、日本全体としては動いていくのだろう。
 COP10が終わり、生物多様性という言葉も今年限りで日本から消えていくのかもしれない。しかし、温暖化だけが環境問題だという風潮がこれ以上広がるのは困る。めざすべきは「低炭素社会」ではなく、「低エネルギー社会」あるいは「資源消費の少ない社会」(正確には、地球1個分の生態系サービスしか利用しない社会)のはずだ。持続可能な社会とは単なる低炭素社会ではない。温暖化以外に悪さをしているとは思えない炭素だけを悪者にした炭素税は、かけ方によっては違う方向に進みそうだ。
 例えば、塩ビとポリプロピレンとポリエチレンを比べれば、ポリプロピレンやポリエチレンの方が炭素含有率が塩ビより高い。一律に炭素税をかけてはラップなども塩ビが復活しそうだ。環境税は賛成だが、炭素税を導入するならば、課徴金制度もあわせて導入するのでなければ意味がない。放射能やダイオキシンなど有害物質がでるものにまず重い課徴金をかけ、それと平行して子孫が使うべき枯渇性資源を原料としたものに炭素税をかけるならば納得できる。

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2010年10月10日 (日)

エントロピー学会のお知らせ「低炭素社会を問う」

 エントロピー学会の2010年全国シンポジウムが京都で開催されるそうだ。招待講演のテーマは、ナバホ先住民のウラン鉱山開発による健康被害や環境影響について。会員も一般も同一料金とのことなので、非会員でも参加しやすい。

 今秋開催のエントロピー学会京都大会では、「『低炭素社会』を問う」をテーマとして、原発問題と地球温暖化問題の関係を取り上げます。地球温暖化論は、原発推進のために利用されていますが、一方、温暖化も現実的な問題で相当の対策が必要だという意見もあります。  その問題構造を明らかにするとともに、他の学会では取り上げないような広い範囲の問題を発表し、議論する場を予定しています

2010年10月16日(土) 10:30〜 18:30 /17日(日)10:00〜16:00

会場/同志社大学 新町キャンパス 「臨光館」など(地下鉄今出川駅徒歩7分)

【統一テーマ】 『低炭素社会』を問う

【参加費】 会員・非会員同額/予約不要 (会員以外の皆様の参加も歓迎します)2日間/一般3,000円 学生1,000円 1日のみ/一般2,000円 学生500円

【主なプログラム】
◎基調講演 室田武(同志社大学)「低炭素社会という名の高ウラン社会を問う」16日10:40~

◎招待講演 クリス・シューイ(アメリカ・サウスウェスト研究情報センター ウラン影響評価プログラム長)
「アメリカ南西部ナバホ先住民居留地内のウラン開発の負の遺産:健康被害と環境影響」
逐語通訳: 振津かつみ(医師) 16日11:20~

◎パネルディスカッション「低炭素社会と原発について」17日13:00~16:00
 パネリスト予定者/田島一成(前環境副大臣/衆議院議員)、小出裕章(京大原子炉実験所)、山田耕作(元京大理学部教員)ほか

◎自主企画・一般講演 地域セミナーによる自主企画や個別会員の研究発表

◎若手企画「上関原発建設問題と若者たち」(ドキュメンタリー映画『ミツバチの羽音と地球の回転』上映会、鎌仲ひとみ監督+若者たちの茶話会)16日13:50~18:30

◎勝手コーナー・ポスターセッション

◎懇親会 16日のシンポジウム終了後(19:00-20:30)会場/室町キャンパス「寒梅館」 地下会議室A 一般3,500円(ノンアルコール3,000円)学生2,000円

◎オプショナルツアー

 10月15日(金)「日本の原爆開発 京大サイクロトロンを見る」…京都市内

 10月18日(月)「小浜・明通寺住職中嶌哲演氏訪問+敦賀・高速増殖炉・もんじゅ

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2010年8月28日 (土)

エコロジカルフットプリントと放射能フットプリント

 昨日、WWFが主催するエコロジカルフットプリント講演会に参加した。参加者の大半が事業者で、具体的な計算法を知りたがる人が多かった。知りたい気持ちはわかるが、無理だろう。そんなに簡単に公式にあてはめて計算できるようでは、複雑な環境に正確に対応できる環境指標とはいえない。
 放射能フットプリントの話にも及んだ。エコロジカルフットプリントでは放射能は負荷の大きさを正確に知ることは難しいので、放射能フットプリントという別枠の指標が必要だとのこと。
 カーボンフットプリントが少ないからといって、安易に原発に走る風潮に歯止めをかけるためにも、放射能フットプリントが普及してくれることを願っている。
 今回の講演会で使われた資料や放射能フットプリントについては、後日WWFのホームページで公開するそうだ。

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2010年8月11日 (水)

世界中で異常気象

 地球上のいたる所で、ほころびがでているようだ。ロシアの火災、中国やパキスタン、インドの洪水、南米の寒波……どれも深刻な被害が出ている。
 ロシアの火災は、自然発火による森林火災が泥炭層に入り込み(あるいは泥炭層でくすぶっていた火が燃え広がった?)、干ばつのため消火できず燃え広がり、それに猛暑が追い打ちをかけ、被害を拡大させているのだろうか。森林の自然発火は昔からよくあることなのに、これほど被害を拡大してしまったのは、異常気象のせいだろうが、しかし、異常気象ばかりが原因ではなく、プーチン首相が開発しやすいように緩和してしまった森林政策にもあったという。
 「チェルノブイリで起きた原発事故により放射能に汚染されたブリャンスク地域で、放射性物質の拡散が懸念される」とのことだが、せっかく放射性物質を吸収してくれている木々が焼失してしまったならば、また被害がでるということだろうか。
 そういえば、今回の火災とは関係ないが、汚染地域からのブルーベリーが最近安く日本に入ってきているとも聞いている。※「まだ続くチェルノブイリ原発事故の影響」

 中国各地で頻発している洪水の被害も深刻だ。既に2万人が被災したという。また、猛暑でバスやトラックが突然発火・炎上する事故も過去3日間で20台もあったとのこと。

 温暖化対策は急を要している。

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-16672620100806

http://mainichi.jp/select/world/news/20100807ddm007030004000c.html
 
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100804/chn1008042045009-n1.htm

http://sankei.jp.msn.com/world/china/100801/chn1008012147005-n1.htm

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2010年8月 8日 (日)

埼玉県の排出量取引

 東京より一年遅れて、2011年4月から埼玉県でも排出量取引が始まる。東京と内容はあまり変わらないが、違反者への罰則が公表のみということが最も大きな違いだ。対象事業所は、原油換算エネルギー使用量が3か年度(年度の途中に使用開始された事業所の場合、その年度を除いて3か年度)連続して1,500キロリットル以上とのことで、「2002~07年の連続する3年間の平均を基準排出量として、14年までの4年間にオフィスビル、学校、病院などは8%、工場は6%を目標削減率として定める。県内で約600の事業所が対象となる。学校、病院、およそ600事業所が対象」になるとのこと。
 国が先行した両都県の取組をどのようにフォローする形で今後国として進めるのか、腕の見せ所だ。イギリスはEU-ETSとUK-ETSの両方を実行しているわけだから、できないことはないのだろう。

http://www.pref.saitama.lg.jp/uploaded/attachment/400611.pdf

http://www.sankeibiz.jp/econome/news/100705/ecc1007050504005-n1.htm

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2010年5月26日 (水)

オール電化住宅は本当にエコ?

 朝日新聞(2010.5.24)によると、新築住宅のオール電化の割合は今、「東京ガス管内で1割強、大きな都市ガス会社がない四国で8割近くを占める」そうだ。昨年11月から余剰電力を高く買い取る制度が始まり、太陽光発電の出荷量は、昨年度は前年度の2.6倍と出荷が急増したとのこと。ガス業界も太陽光発電に乗り出した。
 東京電力は、新型ガス給湯器「エコジョーズ」を使ったガス・電気併用よりも、エコキュートを使用したオール電化の方がCO2排出が少ないと試算するが、東京ガスの試算では逆に増えるという全く違う結果になるらしい。
 省エネ度の評価をしている建築研究所では「エコキュートは、使い方次第で効率が異なる。省エネモードでは高効率だが、深夜電力だけで湯を作り昼間電力を使わないモードでは、ガス機器より効率が落ちる傾向にある」とのこと。松村敏弘・東京大教授も「電力と都市ガスの今の競争は、切磋琢磨というよりも、消費者の囲い込みだけが目的。エコキュートもガスと組み合わせればさらに効率がいいのに、オール電化の道具と位置づけられ、潜在能力を生かし切れていない。電力も都市ガスも、独占市場。長期的な視点で、社会全体の効率を真摯に考える責任がある」と指摘しているという。
 災害時のことを考えてもオール電化よりガスとの併用の方が安心だが、CO2の見地からもオール電化よりガスとの併用で効率的なエネルギー使用を考えた方がよさそうだ。
 オール電化住宅にしてエコだと思いこんでいる人が多いが、オール電化にした家では安心してしまうためか電気をたくさん使うので、CO2の排出量が増える傾向にあると、婦人の友の愛読者の会である奈良友の会の人も会員世帯の調査結果をもとに先日話していた。

 個人住宅では、太陽光発電より太陽熱温水器の方が取り付けも簡単で経済的だ。以前からあるものなので、改良も進んでいる。元々シンプルな仕組みでエネルギー効率も高いので、何年でCO2の元が取れるか、何年でペイするかなど、太陽光発電のように悩まなくてすむのも有り難い。中国やドイツで導入が急増しているそうだ。
 スペインでは、バルセロナで始まった太陽熱利用の設置義務可がいまや国の法律になっている。

 

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2010年4月29日 (木)

ウッドマイレージ課税 新潟県で検討中

 新潟県では森林環境税として「ウッドマイレージCO2」構想を検討しているという。
 木材の輸送距離に応じて課税するもので、WTOに抵触しないよう内外を問わず課税する。
 これが実現すれば、新潟県の木材の地産地消にもなり、県内林業も活性化する。海外の森林破壊を防止することにもなるので、素晴らしい構想だと思う。

ニュースレター「木のみち」

○リユース容器の促進と散乱ごみ防止のため、下記の署名サイトでデポジット署名を集めています。

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2010年3月29日 (月)

ペットボトル水のCO2は水道水の1000倍!

 FoEの「脱・使い捨てニュース」vol.4によると「東京大学の平尾雅彦研究室の飲料水のライフサイクルの環境負荷比較調査(2009年3月日本LCA学界で発表)によると、ペットボトル入りミネラルウォーターの生産・流通におけるCO2排出量は、水道水の約1,000倍にもなる」とのこと。
 よく容器のLCA比較グラフを見る機会がある。ペットボトル容器のCO2排出量は他の容器に比べて突出しているというわけでもないので、超軽量ペットボトルならばそれほど環境負荷は高くないように思いこんでしまうが、ペット飲料の問題は容器のLCAだけではないことをこの数字は物語っているのだろう。
 水道水とミネラルウォーターのチェック体制を比べれば、水道水の方が安全性が高いことも確かだ。
 やはり、ペット飲料より水道水の方が環境にも健康にもよさそうだ。

http://www.foejapan.org/waste/D_news/vol4.pdf

○リユース容器の促進と散乱ごみ防止のため、下記の署名サイトでデポジット署名を集めています。

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2010年3月 3日 (水)

伐採木材製品も炭素蓄積量に算定できる可能性 国産材利用を推進

 日経エコロジー3月号によると、次期枠組みでは、伐採木材製品も炭素蓄積量に算定できるようになるかもしれないそうだ。
 京都議定書では、森林を伐採し木材を林外に持ち出した時点で、CO2排出とみなされるが、家や家具などのように長期に使われる材は炭素を蓄積したままである。そのため、現行の「デフォルト法」(伐採・即・排出)ではなく、伐採・利用・廃棄時排出を京都議定書の特別作業部会では検討中とのこと。この場合の輸入木材の扱いについては、2009年10月のバンコク会合では、基本的に木材を生産した国が伐採木材製品の炭素蓄積や廃棄時の排出を計上する「生産法」の考え方でEUと日本の間では一致したそうだ。
 コペンハーゲン会合では、途上国と先進国の考えが一致せず、両論併記のままになったそうだが、もし生産法が採用されれば、国産材で作った製品を長く使えば使うほど得になるので、国内林業が活性化される上、3Rの考え方にも合致しそうだ。
 木材チップによるバイオマス発電や製紙産業の黒液利用は、CO2ゼロカウントというわけにはいかなくなるだろうが、もともと市民感情とは合致しない部分があったので、それはそれでまた考えればよいのかもしれないと思う。

○関連記事:「ポスト京都で、森林算定方法が変更の可能性」

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ポスト京都で、森林算定方法が変更の可能性

 『日経エコロジー』2010年3月号によると、森林のCO2のカウント方法が変更になる可能性があるらしい。

 京都議定書では、1990年以降の新規植林か、間伐など手入れをした森林のCO2吸収量について、国別に定めた範囲を超えない範囲で、削減目標に利用できる。日本は3.9%まで森林吸収源としてまかなえる計算だが、今のところ3.2%しか達成できそうにない。
 次期枠組みでも森林は吸収源として利用できるようになっているが、計算方法が国によって主張がバラバラで、まだ決まっていないそうだが、EU式の計算方法は「ネットネット法」というもので、基準年の吸収量と約束期間の吸収量の差をとり、プラスなら吸収マイナスなら排出と計算するそうだ。
 日本が主張している現行の方法は、「グロスネット法」というもので、管理した森林が約束期間中に吸収した全CO2がカウントできる。
 ネットネット法の方が、森林管理を活発にするという理由と、過大な吸収量を回避できるため、というのがEUの主張。しかし、若い森林が増えているEUではネットネット法でもプラスになるが、成熟した森林の多い日本では森林はマイナス、つまり吸収どころか排出源になってしまう。
 平行線で結着がつかないため、昨年EUは折衷案を提案してきたそうだ。
 折衷案は「参照レベル法」というもので、各国が基準値となる参照レベルを設定し、それより上回ればプラス、減ればマイナスになるというもの。
 この場合、日本は参照レベルをゼロにして、結果的にグロスネット法と同じ数値となることを主張している。もしゼロが認められれば、2.9%の吸収量を確保できるとのこと。
 
 (「伐採木材製品も炭素蓄積量に算定できる可能性 国産材利用を推進」につづく)

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